「ポーカー」と聞いて、多くの方が思い浮かべるのは「ノーリミットテキサスホールデム(NLH)」ではないでしょうか?世界中で最も人気があり、大会でもよく採用されるルールです。日本では昔ながらの「5ドローポーカー」もビデオゲームなどで親しまれていますね。
しかし、ポーカーの世界は奥深く、そのルールは数十種類にも及びます。中には「ポットリミットオマハ(PLO)」のように、NLHに次いで耳にする機会が増えたルールもあります。
この記事では、そんなポーカーの多様なルールの中から、特に「MIXゲーム」でよくプレイされる種類に焦点を当てて解説します。それぞれのルールが持つ特徴を理解し、ポーカーの新たな楽しみ方を発見しましょう!
この記事を読めば、以下のことがわかります。
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ポーカーのルールを分類する主要な3つの要素
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代表的なポーカーゲームのルール概要
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自宅でMIXゲームを楽しむためのストラクチャーの考え方
さあ、ポーカーの奥深い世界への扉を開きましょう!
- ポーカーのルールの基本カテゴリ:3つの視点で理解する
- 代表的なポーカーゲームのルール紹介:MIXゲームでよく見かける種類
- 1. ノーリミットテキサスホールデム (No-Limit Texas Hold’em / NLH)
- 2. フィックスリミットテキサスホールデム (Fixed-Limit Texas Hold’em / FLH)
- 3. ポットリミットオマハ (Pot-Limit Omaha / PLO)
- 4. ポットリミットオマハ ハイロー / 8 or Better (Pot-Limit Omaha Hi/Lo or PLO8)
- 5. フィックスリミットオマハ ハイロー 8 or Better (Fixed-Limit Omaha Hi/Lo or FLO8)
- 6. セブンカードスタッド (7-Card Stud)
- 7. ラズ (Razz)
- 8. セブンカードスタッド ハイロー / 8 or Better (7-Card Stud Hi/Lo 8/B)
- 9. フィックスリミット 2-7 トリプルドロー (Fixed-Limit 2-7 Triple Draw / FL2-7TD)
- 10. ノーリミット 2-7 シングルドロー (No-Limit 2-7 Single Draw / NL2-7SD)
- 11. バドゥーギ (Badugi)
- 自宅でMIXゲーム!ストラクチャーの考え方
- まとめ:ポーカーの多様な世界を楽しもう!
ポーカーのルールの基本カテゴリ:3つの視点で理解する
ポーカーのルールは多岐にわたりますが、大きく分けて以下の3つのカテゴリで分類できます。これらの要素の組み合わせによって、ゲームの戦略や面白さが大きく変化します。
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ベット額の種類: 賭け金の制限や上限
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役の強さ判定: カードの組み合わせの優劣
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カードの配り方: 手札や共有カードの枚数と開示方法
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. ベット額の種類:賭けの自由度を左右するルール
ポーカーにおけるベット(賭け金)やレイズ(引き上げ)の金額には、ルールによって異なる制限が設けられています。「ノーリミットテキサスホールデム」の「ノーリミット」がまさにこの部分を示しています。
ノーリミット(No-Limit / NL)
ベット額やレイズ額に上限がありません。最低ベット額(通常1ビッグブラインド)以上であれば、チップの全額(オールイン)を一度に賭けることも可能です。戦略の幅が最も広い一方で、一瞬にして勝負が決まるスリリングさが特徴です。
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例: SB 0.5BB, BB 1BB の場合、UTGは1BBからオールインまで自由にレイズ可能。
ポットリミット(Pot-Limit / PL)
ベット額、レイズ額の上限が「現在のポット(賭け金が置かれている場所)の総額」に制限されます。ノーリミットに比べて一度に賭けられる額が予測しやすく、計算力が重要になります。
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例: SB 0.5BB, BB 1BB の場合、UTGは1BBから3.5BB(ポット額1.5BB + 自分のコール額1BB × 2)までレイズ可能。
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計算のコツ: 自分の行動より前の人までのポット金額に、自分がコールする予定の額の2倍を足すと、ポットレイズの最大額が分かります。(状況によってはこの計算が当てはまらない場合もあります。)
フィックスリミット(Fixed-Limit / FL)
ベット額もレイズ額も、ゲームの進行(ストリート)や段階(回数)に応じて固定されています。例えば「フロップでは1000、ターン・リバーでは2000」のように決められています。事前にベット額がわかるため、読み合いや戦術的な駆け引きが中心となります。
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例: SB 500, BB 1000 の場合、最初のベットは1000、レイズは2000、リレイズ(3ベット)は3000、と固定額で進行。
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例: フロップのベットは1000スタートで5ベットまで5000、ターン・リバーのベットは2000スタートで5ベットまで10000、といったストラクチャー。
2. 役の強さ判定:最強の組み合わせが変わる!?
ポーカーの醍醐味である役の強さ判定も、ルールによって大きく異なります。NLHではロイヤルフラッシュが最強ですが、他のルールでは最弱の役が最強になることもあります。
ホールデム系(High)
最も一般的なポーカーの役の強さで判定します。ロイヤルフラッシュが最強、ハイカードが最弱となります。
役の強さ(強い順):
ロイヤルフラッシュ > ストレートフラッシュ > フォーカード > フルハウス > フラッシュ > ストレート > スリーカード > ツーペア > ワンペア > ハイカード
2-7(デュース・トゥ・セブン / Lowball)
ホールデム系とは真逆の役の強さで判定します。ストレートやフラッシュは非常に弱く、ペアも低い評価となります。数字が低く、バラバラのカードで構成される役が最強です。
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最強の役: 7-5-4-3-2(フラッシュではないもの)
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NLHでの最弱に近い役が、このルールでは最強となります。
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ストレートやフラッシュは通常のポーカーと同じように形成されていても、このルールではマイナスの要素としてカウントされ、弱い役とみなされます。
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A-5(エース・トゥ・ファイブ / Lowball)
A(エース)を「1」として扱い、数字が小さいほど強いと判定されます。2-7と異なり、ストレートやフラッシュは役の強さには影響しません(単に数字の並びとして判断されます)。シンプルに数字が小さい5枚の組み合わせが最強です。
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最強の役: A-2-3-4-5
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ペアは弱い役とみなされます。
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バドゥーギ(Badugi)
非常に特殊なローボール系のルールです。手札は4枚で、数字が小さいほど強いという点ではA-5に似ていますが、「4枚全てが異なる数字で、かつ4枚全てが異なるスート(マーク)」であることが非常に重要です。
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最強の役: A-2-3-4(全て異なるスート)
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同じ数字や同じスートのカードが含まれている場合、その枚数に応じて役が弱くなります(例:同じスートが2枚あれば、強い3枚の組み合わせで勝負)。
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3. カードの配り方:ゲームの展開を左右するスタイル
ポーカーは、手札の枚数やコミュニティカード(全員で使える共有カード)の有無、そしてカードの公開方法によって大きくプレイスタイルが変わります。
テキサスホールデム(Texas Hold’em)
手札に2枚のカードが配られ、コミュニティボードに5枚のカードが順次開示されます。プレイヤーは手札の2枚とボードの5枚、合計7枚の中から最も強い5枚の組み合わせを作り勝負します。
オマハ(Omaha)
手札に4枚のカードが配られ、コミュニティボードに5枚のカードが順次開示されます。テキサスホールデムと異なり、必ず手札から2枚、ボードから3枚を使用して最も強い5枚の組み合わせを作らなければなりません。手札が多い分、役ができる可能性も高まりますが、複雑さも増します。
ドロー系(Draw)
各プレイヤーに5枚の手札が配られ、その後、決められた回数(シングルドローなら1回、トリプルドローなら3回)好きな枚数の手札を交換(ドロー)することができます。より強い役を目指して手札を組み替える戦略が醍醐味です。
スタッド系(Stud)
各プレイヤーに数枚のカードが配られますが、そのうち一部は自分だけが見える「ホールカード」、一部は全員に見える「アップカード」として開示されます。7カードスタッドでは、最終的に7枚のカードが配られ、そのうち最も強い5枚で勝負します。相手の公開カードから手札を推測する力が重要になります。
代表的なポーカーゲームのルール紹介:MIXゲームでよく見かける種類
ポーカーのルールの基本カテゴリを理解したところで、実際にプレイされている代表的なゲームを紹介します。これらのゲームは「MIXゲーム」と呼ばれる、複数のルールを順番にプレイする形式の大会やキャッシュゲームでよく採用されます。
1. ノーリミットテキサスホールデム (No-Limit Texas Hold’em / NLH)
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ベット額: ノーリミット(上限なし)
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役の強さ判定: ホールデム系(ロイヤルフラッシュが最強、ハイカードが最弱)
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カードの配られ方: 手札2枚、コミュニティボード5枚(7枚中最強の5枚を使用)
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ベッティングラウンド: プリフロップ → フロップ → ターン → リバー(計4回)
言わずと知れたポーカーの王者。戦略の奥深さとダイナミックな展開が魅力です。
2. フィックスリミットテキサスホールデム (Fixed-Limit Texas Hold’em / FLH)
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ベット額: フィックスリミット(ベット額・レイズ額が固定)
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役の強さ判定: ホールデム系
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カードの配られ方: 手札2枚、コミュニティボード5枚(7枚中最強の5枚を使用)
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ベッティングラウンド: プリフロップ → フロップ → ターン → リバー(計4回)
NLHとは異なり、ベット額が固定されているため、より正確なハンド評価と相手のレンジ(持ちうる手札の範囲)の推測が重要になります。
3. ポットリミットオマハ (Pot-Limit Omaha / PLO)
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ベット額: ポットリミット(ポット額が最大)
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役の強さ判定: ホールデム系
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カードの配られ方: 手札4枚、コミュニティボード5枚(必ず手札から2枚、ボードから3枚を使用)
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ベッティングラウンド: プリフロップ → フロップ → ターン → リバー(計4回)
手札が4枚あるため、より強い役ができる可能性が高く、エキサイティングなゲーム展開が特徴です。しかし、役の組み合わせが複雑になるため、慣れるまでは難しく感じるかもしれません。
4. ポットリミットオマハ ハイロー / 8 or Better (Pot-Limit Omaha Hi/Lo or PLO8)
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ベット額: ポットリミット
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役の強さ判定1(ハイ): ホールデム系(ロイヤルフラッシュが最強)
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役の強さ判定2(ロー): A-5系(ストレート・フラッシュは関係なく数字が低い方が強い。ただし、8以下の異なる数字5枚のみ有効)
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ローの役が成立しない場合は、ハイのプレイヤーがポットを全額獲得。
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ハイとローで勝者が異なる場合は、ポットを半分ずつ分け合います(チョップ)。
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カードの配られ方: 手札4枚、コミュニティボード5枚(必ず手札から2枚、ボードから3枚を使用)
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ベッティングラウンド: プリフロップ → フロップ → ターン → リバー(計4回)
「ハイ」と「ロー」の2つの役で勝負を分ける「スプリットポット」ルール。ポットを分け合う戦略が求められる、非常に奥深いゲームです。
5. フィックスリミットオマハ ハイロー 8 or Better (Fixed-Limit Omaha Hi/Lo or FLO8)
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ベット額: フィックスリミット
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役の強さ判定1(ハイ): ホールデム系
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役の強さ判定2(ロー): A-5系(8以下の異なる数字5枚のみ有効)
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カードの配られ方: 手札4枚、コミュニティボード5枚(必ず手札から2枚、ボードから3枚を使用)
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ベッティングラウンド: プリフロップ → フロップ → ターン → リバー(計4回)
PLO8のベット額が固定されたバージョン。より堅実なプレイングが求められます。
6. セブンカードスタッド (7-Card Stud)
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ベット額: フィックスリミット。全員がアンティを支払い、サードストリートで一番弱いカードが表示されているプレイヤーがブリングインを支払います。
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役の強さ判定: ホールデム系
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カードの配られ方: 手札2枚(裏向き)、公開カード4枚(表向き)、手札1枚(裏向き)の合計7枚から最強の5枚を使用。
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ベッティングラウンド: サードストリート → フォースストリート → フィフスストリート → シックスストリート → セブンストリート(計5回)
コミュニティカードがなく、プレイヤーごとに公開カードと非公開カードが配られるのが特徴です。相手の公開カードから手札を推測する洞察力が非常に重要になります。
7. ラズ (Razz)
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ベット額: フィックスリミット。アンティとブリングインは7カードスタッドと同様。
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役の強さ判定: A-5系(ストレート・フラッシュは関係なく数字が低い方が強い)
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カードの配られ方: 7カードスタッドと同様(手札2枚、公開カード4枚、手札1枚)
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ベッティングラウンド: サードストリート → フォースストリート → フィフスストリート → シックスストリート → セブンストリート(計5回)
7カードスタッドのローボール版。最も低い役を目指すゲームで、相手の公開カードからローのハンドを作っているかを読み合うのが面白いポイントです。
8. セブンカードスタッド ハイロー / 8 or Better (7-Card Stud Hi/Lo 8/B)
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ベット額: フィックスリミット。アンティとブリングインは7カードスタッドと同様(ブリングインはハイ側で最弱のカードが表示されている人)。
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役の強さ判定1(ハイ): ホールデム系
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役の強さ判定2(ロー): A-5系(8以下の異なる数字5枚のみ有効)
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カードの配られ方: 7カードスタッドと同様
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ベッティングラウンド: サードストリート → フォースストリート → フィフスストリート → シックスストリート → セブンストリート(計5回)
7カードスタッドのハイロー版。公開カードを見ながらハイとローの両方を狙うか、どちらかに特化するか、複雑な戦略が求められます。
9. フィックスリミット 2-7 トリプルドロー (Fixed-Limit 2-7 Triple Draw / FL2-7TD)
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ベット額: フィックスリミット
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役の強さ判定: 2-7系(7-5-4-3-2(フラッシュではないもの)が最強)
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カードの配られ方: 手札5枚が配られ、3回手札の交換が可能
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ベッティングラウンド: プリドロー → ドローラウンド1 → ドローラウンド2 → ドローラウンド3(計4回)
3回のドローチャンスで最強の2-7ローハンドを目指すゲーム。相手のドロー枚数から手札を推測し、ブラフを仕掛ける戦略が有効です。
10. ノーリミット 2-7 シングルドロー (No-Limit 2-7 Single Draw / NL2-7SD)
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ベット額: ノーリミット
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役の強さ判定: 2-7系
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カードの配られ方: 手札5枚が配られ、1回手札の交換が可能
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ベッティングラウンド: プリドロー → ドローラウンド(計2回)
たった1回のドローとノーリミットのベット額が組み合わさるため、非常にスリリングなゲーム展開が楽しめます。大胆なブラフが成功すると大きな快感を得られます。
11. バドゥーギ (Badugi)
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ベット額: フィックスリミット
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役の強さ判定: バドゥーギ系(全て異なる数字・スートのA-2-3-4が最強)
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カードの配られ方: 手札4枚が配られ、3回手札の交換が可能
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ベッティングラウンド: プリドロー → ドローラウンド1 → ドローラウンド2 → ドローラウンド3(計4回)
独特の役の強さ判定が特徴的なゲーム。手札を「バドゥーギ」(異なる数字・異なるスートの4枚)にすることが目標となります。
自宅でMIXゲーム!ストラクチャーの考え方
様々なポーカーのルールがあることが分かりましたが、実際に友人同士で遊ぶ際に困るのが「ベット額の設定」ではないでしょうか。ここでは、大まかながらもバランスの取れたストラクチャーの考え方を紹介します。
基本的な考え方としては、以下のようになります。
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ノーリミット・ポットリミット系: ブラインドを小さめに設定し、チップの自由度を高くする。
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例: スモールブラインド (SB) 50、ビッグブラインド (BB) 100
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フィックスリミット系(スタッド系以外): ゲームの進行とともにベット額が上がるように設定する。
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例: SB 100、BB 200。フロップ(ドローラウンド1)は200(スモールベット)、ターン・リバー(ドローラウンド2, 3)は400(ビッグベット)。
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スタッド系: アンティを全員が支払い、ブリングイン(強制ベット)と、その後のベット額を設定する。
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例: アンティ 50、ブリングイン 50。コンプリートベット(サードストリートの最初のレイズ)200、フォースストリートのベットも200、フィフス・シックス・セブンストリートのベットは400。
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これらの設定はあくまで目安です。実際にプレイしてみて、ベット額のバランスが悪いと感じる場合は、自由に調整して、参加者全員が楽しめるストラクチャーを見つけてください。
まとめ:ポーカーの多様な世界を楽しもう!
この記事では、ポーカーの基本的なルールの分類から、MIXゲームでよくプレイされる代表的なルールまでを詳しく解説しました。
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ベット額の種類 (ノーリミット、ポットリミット、フィックスリミット)
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役の強さ判定 (ホールデム系、2-7、A-5、バドゥーギ)
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カードの配り方 (テキサスホールデム、オマハ、ドロー系、スタッド系)
これらの要素の組み合わせによって、ポーカーゲームは無限のバリエーションを生み出します。
テキサスホールデム以外のルールを知ることで、ポーカーの戦略の幅が広がり、より深い面白さに出会えるはずです。ぜひ、友人とのゲームやオンラインポーカーで、様々なMIXゲームに挑戦してみてください。
ポーカーの奥深い世界を存分に楽しんでくださいね!

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